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──と、思ったのに。
人間の体って、一度覚えたことを忘れられないようにできているらしい。
頭では最低でいけないことだとわかっていたのに、したり顔の元彼に誘われた瞬間、ご無沙汰だった足の間がずくんとあの刺激を思い出してしまった。
大して好きでもない男と、してはいけないことをする。
そう思った瞬間アタシの中の欲求不満が顔を出し、強烈に欲しくなってしまった。
そこまで本気で好きでもなかった男と覚えるんじゃなかった、と思っても後の祭りだった。
元彼の様子は以前と変わりなく、アタシの体を使って勝手に気持ちよくなっているだけだったが、それがよけいよかったなんて人には言えない。
この男に別れを告げられたときは選ばれなかった自分を哀れに思って泣いたくせに、こうして自分の体を粗末に扱うことでへんな快楽を得る。
ああ、アタシ、歪んでるんだな。
激しく揺らされながら、ぼんやりそんなことを思った。そして、少しだけおかーさんのことを思い出しもした。
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