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「凛音、お前つき合ってる男いただろ。それなのにどうして」
「っさいなあ。智には関係ないじゃん」
「だめだ。いま考えろ。このままじゃお前、ろくな人間にならないぞ」
幼なじみのくせに、ご高説をたれるわからずやの先生みたいなことを言うから、カチンときた。
「おかーさんの娘だもん。似てたって仕方ないでしょ」
「……っ、は?」
「ごめんね、うちのおかーさんが智のおとーさんたぶらかしたりして」
「それとこれとは関係ないだろ」
智の声が、少しふるえた。
「あるよ。大ありだよ。アタシもいつか結婚して子どもができたって、どうせやりたいときにやりたい人とやっちゃうんだろうなって思うもん」
「凛音」
「そういうのってさあ、心がけとかでどうにかなるものじゃないなって、なんか昨日思っちゃって」
「違うだろ。お前そんなやつじゃない」
「あんたの倫理観押しつけないでよ! 自分の欲望が最優先、そういう人間なんだよ、アタシは!」
感情任せに言った瞬間、ああなんだそういうことか、と自分の中にすとんと落ちた。
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