やさしくなりたい

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   はずみで智と寝てしまってからも、何度か元彼に誘われた。  元彼との記憶がまだ生々しいぶんの誘惑はあったし、バカなアタシの心はそれなりに揺れた。  だが、そのたび智のアンニュイな横顔がちらついて、これ以上自分の体をだらしなく汚していくのはどうだろう、という理性が働いた。  智を好きとか、そんなんじゃない。ただ少しだけ自分を大事にしてみようと思った。  それに、まだ彼女とつき合っているくせに、アタシと寝たがる節操のなさと、友達にうっかり明かしてしまうバカさかげん。間接的に恥をかかされるのはごめんだ。  刹那の快感と恥と、未熟なプライド。アタシはまだまともでいたいオンナのようで、秤にかけるまでもなかった。  あと、ちょっとだけまぶしい乙音の視線なども思い出したりしていた。 .
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