・序章

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・序章

かつて、ハカセはボクに、こう言いますた。「このセカイに存在するすべてのモノには、神様から『役割』というのが与えられているのだよ」と。 キミにしか出来ないことが、必ずある。 それを見つけて、誰かの役に立ちなさい。 誰かを、幸せにしてあげなさい。 ――ボクのことを撫でながら、そう、何度も言ってくれますた。 その時のハカセの手は、ぶるぶると震えていますた。 「かつては天才と(うた)われた私も、歳には勝てんかったなあ」と笑うハカセの顔は、まだボクの記憶(メモリ)の中に、鮮明にのこっています。 失礼かもしれませんが、ボクはそんな『よぼよぼ』と呼ぶのにふさわしいハカセが、それでも身体にムチをうち、最後の最後までロボットをつくり続け、こうしてボクを()み出してくれたことに、心から感謝しますた。 そして、最後の最後まで『ハカセ』として、セカイのために生き続けたハカセのことを、ボクは、誇りに思っています。 だからボクも、そんなハカセの想いに、応えなければなりません。 このセカイを生きる、たくさんのヒトたちの、役に立ちたい。 たくさんのヒトたちを、笑顔にしたい。幸せにしたい。 ボクは、そんなロボットになるのが夢ですた。
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