休暇1日目

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「あざぁっしたぁ〜」という気怠い声を背中で聞きながらコンビニから出ると、ヤンキー風の高校生くらいの男女がゴミ箱の前でたむろっていた。 迷惑だ、そう思ったが特に気にも留めずスタスタとその横を通り過ぎようとすると、 「あつっ!」 足に何か熱いものが当たる。咄嗟に払った足の近くにまだ火がついている煙草が転がっていた。 それを投げた張本人であろう高校生達は謝るどころかそれに気づいてもいない様子だった。 「ちょっと!煙草を投げ捨てるなんて、それも人に向かって!マナーって知らないわけ!?」 と思わず捲し立てる。しまった、そう思う時にはもう遅い。 「はあ〜?何だよババア、何か文句あるわけ?」 とガタイの良い、学ランを着崩した男子高校生がこちらを振り向く。近くにいる厚化粧に超ミニスカートの女子高生達は「アツシに喧嘩売るとかw」とヒソヒソ話している。 ババアと言われ、三十路に片足を突っ込んでいる事に焦りを感じていた円のこめかみがプチリと音を立てる。 「誰がババアよ!煙草に火がついたまま捨てると放火になるのよ!?恥を知りなさい!」 そう言い切ると、アツシと呼ばれた男子高校生はすくりと立ち上がり拳をパキパキと鳴らした。 「は?テメェ俺に説教する気か?死にてえみたいだな」 と言いゆっくりと近づいてきた。 やばい、言いすぎたか。そう思いギュッと目を瞑ると、 「おい、お前等何してるんだ!」 と声がかかる。
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