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休暇2日目
「暑過ぎ〜。マジダリィし」
と横で友達の玲奈がスマホを片手にそう呟く。高校生という無敵の鎧を身に纏う自分達は、楽しい事を求めて今を生きていた。後の事など、後で考えれば良いと思っている。
「杏奈、アイス食べようよー」
と玲奈がコンビニの前で杏奈の袖を引く。確かに今日は溶けてしまうんじゃないかというくらい暑い。
杏奈と玲奈は吸い込まれるようにコンビニの中へ入った。
「らっしゃあせ〜」と気怠そうに金髪の大人が挨拶をする。コンビニのバイトって面倒そうだな、やりたくない、と思いつつ2人はアイスのケースの前へ行く。
「え、これまぢ美味しそうじゃん!苺ショートケーキ味だって!」
と言い、玲奈はケースから1つアイスを取り出す。それは、私もそれにしよ〜、と言うには少し二の足を踏む値段だった。
月末で小遣いも少ない杏奈は、
「ん〜私今月ちょっとピンチだからな〜こっちにしとく」
と100円くらいの財布に優しいラクトアイスを手に取った。
玲奈はえ〜と不満げだったが、
「でも金欠ツライよね〜。ウチらバイトとかしてないし。アツシがいればおごってくれるんだけどなぁ」
と言った。アツシとは、玲奈の彼氏の事だ。1つ年上で羽振りがよく、杏奈もよく奢ってもらったりする。喧嘩っ早く、煙草やお酒にも手を出すヤンチャな男だが、機嫌の良い時はすごく優しいのだと言う。
「いいな、私も彼氏ほしぃ〜」
と杏奈が言うと、玲奈は
「杏奈可愛いんだからシャツのボタンあと1個か2個外せば絶対もっと男寄ってくるって〜」
と笑った。
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