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「できたー!」
およそ3分、カップラーメンが出来上がるくらいの時間。
まりちゃんがスケッチブックを大きく掲げて見せてくれた。
そこには複雑に絡み合ったと言えなくもない、カラフルな線の集合体が。
「たくさんの色を使ってくれたんだね、まりちゃん。ありがとう。」
こんな褒め方でいいんだろうか。
そっくりに描けたねと言うと、アマビエが気を悪くするんじゃないかと思って、ちょっと遠慮した褒め方になってしまったが。
「まあああ!そっくり!!」
「むしろ贅沢すぎる!」
遠慮も何もあったものではない吸血鬼二人の発言。
「あ、あの、アマ本さん。」
怒ってないですよね、その絵、まりちゃんなりに真剣に描いたと思うんですがと、俺はどうか察してくださいと心の中で願った。
「素晴らしい!これほど私の複雑で繊細な内面を表現してくれるとは!先生は!感動した!」
え、いいのか、アマビエ。
言い方を悪くすれば、ぐちゃぐちゃな線の塊なんだが。
「座敷童、すごいもんを描いたのう。」
え?どういう意味ですか、タカさん。
「店主を思うて一心不乱に描きおった。おかげで神気の籠もったとんでもない疫病退散の姿絵になったっちゅーわけじゃ。」
ええっ!そ、そんなに凄い絵になったのか、まりちゃんの絵!
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