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念のためにと、馬込さんは女性の血液を取りに病院に戻ることになった。
「大丈夫です。院長が自分用に保管しているものがどこかにあるはず。なければスタッフに頼みます。院長の体調の悪さは重度の貧血なので献血にご協力くださいと言えば、かなり女性スタッフの血が集まることでしょう。」
輸血するほどだと思われていいのか、馬込さん。
そして、我先に採血の腕を差し出す女性たちの姿が想像されてちょっと複雑な気分になった。
俺たちに華原さんを任せ、馬込さんは病院に戻ってしまった。
おいていかれた華原さんは、普段のハキハキした華原さんじゃなく、とろんとした感じで大人しく座っている。
「こんな女吸血鬼を見ることになるとはのう。」
しみじみとタカさんが呟く。
「迷惑極まりないやっちゃなー。わしが呼ばれた意味がないわい。」
そこは申し訳なかった、お地蔵さん。
「すみません。俺がお願いしたせいで店まで来ていただいてしまって。」
「まったくじゃ。店主。出張費用として次回の月命日の時はお供え5割増じゃぞ。」
ぼったくり地蔵出現。
「泉実も悪くなかろうが」と言ってくれたタカさん、ありがとうございます。
ついでに、お地蔵さんに渾身のグーパンチを入れようとしているミハイさんのことも止めてくださって本当にありがとうございます。
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