居酒屋まるの院長先生ご乱心

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「おじちゃんの絵をかけばいいの?」 初対面の人の絵を描くなんて、まりちゃんにはハードル高いかな。 俺の絵を描いてくれたのも、お願いしたからではなくまりちゃんが描きたくて描いてくれたわけだし。 こちらから描いてほしいものをお願いしたことはない。 ツートップが迷っている様子のまりちゃんの背中を押す。 「そう、このおじちゃんの絵を描くとのう、泉実が流行病にかからんですむから大助かりなんじゃ。」 「ついでに2枚描いとくと、そこのばーさん吸血鬼にも高く売れて、店が大儲けするぞ。どうじゃ、童。」 「ばーさんじゃないわよ、お姉様よ。どこに目がついてんのって言いたいけど石ですもんねー、節穴でも仕方がないわ、ほーっほっほ。でも、まりちゃんが描いてくれたら、お姉さん、高額買い取りするわよ!」 どこぞの貴金属買い取り店みたいなことを言う華原さん。 まりちゃんは、俺を見てもう一回アマビエを見て、それからもう一度俺を見た。 「泉実、たすかる?まりちゃんがお絵かきしたら、泉実うれしい?」 そりゃあまりちゃんが描くものは何でも嬉しい。 「まりちゃんが好きにしていいんだよ。それと、華原さんには売らなくていいから。」 「何てこと言うのよ、泉実ちゃん!オニ!?オニなの!?酷いわあああ!!」 いや、俺はまりちゃんを働かせて華原さんから大金をふんだくる気がないだけで。
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