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昭和のナポリタン
1
東京の中で最も人が多く集まる街、新宿。
周囲は路線や高層ビルがシルエットになっている。摩天楼からこの風景を見渡すのも、今日で終わりだ。他のビルは全面光るガラスに覆われていた。
まだ早い夏の陽が思ったよりも強烈で、光の帯が白黒に等しい暗黙の落差をつけながら、入って来る。夕方のオレンジ色が風をはらんで、ベールのように都市の上空を彷徨っていた。
ここから見る光景が好きだった。自分が何より頂点になったつもりで居られたから。同年代の女性より稼ぎがあった私は、慢心しながらここから真下を見下ろすのが気持ち良かった。
うぬぼれていた罰が当たったのだろうか。
ここの休憩フロアはピンクの絨毯が敷かれ、フカフカのソファが置かれている。その心地良いソファに腰掛けることが出来るのも、これで最後だと思うと泣けてきた。そんなガラスに自分の惨めな顔が写る。
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