昭和のナポリタン

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 内心肩を落とし、諦めつつも自分のデスクへ戻ると自分の荷物を箱に詰める。 「玲奈ちゃん」  同情めいた口調で隣の席の同じ年の男性社員が私の顔を見る。少し頼りなさげな王子様顔だが、彼の腕は私より遥かに上だ。 「どうも、お世話になりました」  私は口先だけは丁寧な口調で頭を下げる。心の中では、こんちくしょうと思っていたことは言うまでもない。 「中島さん、ちょっといいかな」  先ほど、私に解雇を言い渡したばかりの上司、沢田部長が手招きする。
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