昭和のナポリタン

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 もうあまり長居はしたくなくて自分から頭を下げて切り上げ、踵を返した。明日から全くの他人になる同僚や上司のことなど、今の私にはどうでも良かった。もう顔を合わせることもないだろう。 「あー、ちょっと待って」  再び部長は私を引きとめた。私はうんざりしながら「何か?」と、振り返る。 「君、二十七だよね?」  いきなり年齢のことに触れてきた。思いっきりセクハラだ。これは流石の私も笑顔で対応出来ない。言い返そうと口を開こうとしたとき「うちの甥っ子どうかな」と、台詞を続けた。
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