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転校生
転校生ってなぜかやってくるのを想像してしまう。
でも私の場合はいつもいなくなる転校生の方が多いのです。
小学校三年生の時に近くのお寺でよく遊んでいました。
いつも男女5、6人くらいだったように思う。
ある日、その中のひとりの男の子のお父さんが亡くなって転校生することになりました。
普段は大人しい男の子だったように思うのにお葬式も終わってみんなとお別れになると大泣きしてビックリしました。
こんなにも感情を出す子だったんだと思いました。
お母さんが県外の人でよその県に引っ越すことになってどっかに行ってしまったけど、すごく悔しかったんだろうなあと思う。
今はどこで何をしているかもわからないけどきっと頑張っていると思う。
なぜ、僕が?とか何で僕のお父さんが?とか色々自問自答しても出てこない答え。
理不尽なことの多い子ども時代。
親や社会の都合で友だちやここの土地との別れがとてもつらかったんだと思う。
ここの土地にいて普通に毎日を友達と過ごすことが当たり前だと思っていた子ども時代に知らない土地に行ってしまうことの怖さや恐れが一気に吹き出しだんだと思う。
あんなにも純粋でまっすぐな心にもう二度と戻れない。
時々その子の事を思い出すけど、懐かしいというよりもうちに秘めた彼の情熱を垣間見たような気がする。
その子は小学校三年生の春休みに旅立って行った。
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