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そう聞いていた上、ちょうど出勤時刻を遅くに設定していた俺は、様子見がてら実家に立ち寄っていた。そして母親の用意したお茶とお菓子を前に、目眩がするように頭を押さえていた。
「……ということでね。できれば是非お呼びしたいところなんだけど、実はその萌々ちゃんのお父さまからは遠慮しますと言われてしまって……」
ということってなんだよ……。
「……だから萌々を?」
「いいと思わない?」
いいと思う。
って、俺が言うと思うのか。
俺は緩く首を振りながら、密やかに息をつく。
そんな俺の反応に構わず、母親は更ににこにこと続けた。
「正臣さんはもちろんOKなのよ。和臣だってお母さんたちに任せるって言ってくれたし」
和臣……。
兄貴の名前、久々に聞いたな。
……いや、今はそんなことどうでもいいんだけど。
「だけどね。このまま普通にご招待しても……萌々ちゃん、来てくれない気がして。ほら、お父さまが断ったのに、っていうこともあるし。だから、先にあなたから話してみてほしいのよ。どうしても、是非とも出席してほしいって」
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