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そうつらつらと言葉を並べた母さんは、最後に「ということで、お願いね」とそこだけ妙に威圧的に、念を押すように言って俺のカップに落としたばかりのコーヒーを注いだ。
(いや、お願いねって言われても……)
俺は次第に収まっていくチョコレート色の波紋を見つめながら、はぁ……と隠す気のない溜息をつく。それでも目の前の母親は、ただにっこりと微笑んでいただけだったけれど――。
***
萌々の連絡先は知っている。
いつだったか、萌々に交換させられたのだ。
理由はなんだったか……何かの写真を送るとかなんとかだったっけ?
はっきり覚えていないけれど、とにかくまぁそんなわけで、そこからメッセージアプリを繋ぐこともでき、今に至る。
〝お前今家? まきまきの公園までちょっと出てこられるか?〟
萌々宛の画面にはそう表示されている。
まもなく既読がついたそれに返ってきたのは、
〝大丈夫!〟
というデフォルメされたうり坊のスタンプだった。
……何気にあいつ根に持ってんな。
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