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「やだっ! そんなわけないじゃないっ。ただ、どうなったかなって気になっただけでっ」
言いながら、眼前でフルフルと手を振り回しながら違う違うと意思表示をしつつ、
「道端に落っこちて誰にも食べてもらえずに踏み潰されてたりしたら悲しいなぁって思っただけなのっ」
そう言い募ったら、
「あれなぁ、俺も好きなんだよ」
ってニヤリとされた。
あ、そっか。隆ちゃん甘いの好きだったもんね。食べてくれたんだ。
そう思ったら何となくホッとして、同時に嬉しくなった。
「……良かった」
無意識にポツンとつぶやいたら「相変わらず変なやつ」って苦笑されてしまったの。
「パンのことじゃないとしたら……何の用?」
隆ちゃん、用もないのに私に連絡してこないよね?
そういうニュアンスを込めてすぐそばに立つ長身の幼なじみを見上げたら、「ああ……」って何だか言いにくそうに口ごもるの。
「隆ちゃん?」
別に覗き込んでいるつもりはないのだけれど、身長差でどうしてもそうなってしまう。
窺い見みるように隆ちゃんの顔を見つめたら「お前さ、結婚式とか出れるような服持ってる?」って聞かれて。
あまりに突飛な質問に「へ?」と間の抜けた声を出してしまった。
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