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【Side:林田悦子】
ちょっと待って?
今、柚弦くん、何て言った?
動揺のあまり、私は思わず手元に置いてあったグラスを倒しそうになった。
「おっと……」
すっと伸びてきた柚弦くんの手で、中身をぶちまけてしまうのは回避できたけれど、私の頭の中はグルグルと渦巻いていて。
4人の中ってことは……柚弦くんが好きなのって……萌々ちゃん……?
好きな人の想い人が親友とか……そんな少女漫画みたいなのって……嘘だよね?
その物語では私、ヒロインにはなれなかったってことだね。
ああ、何だろこれ。思った以上にすごく……しんどい、かも。
「林田さん?」
柚弦くんが、フリーズしたままの私を気遣うように声をかけてくれるけれど、それにどう反応したらいいのかも分からなくて思わず顔をうつむけてしまう。
と――。
「ごめんごめん、お待たせしましたっ!」
そんな声とともに楓馬くんが現れた。
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