118人が本棚に入れています
本棚に追加
今ほど彼の登場に救われたことはないかもしれない。
「楓馬、遅いよ」
私同様、重苦しい空気に困惑していたのかもしれない。
柚弦くんが少しホッとしたようにそう言って、楓馬くんを小突いて――。
それを見て、私は「あ」って思った。
柚弦くん、4人の中で下の名前呼んでるの、楓馬くんのことだけじゃない?
え? でも……そんな。
そこで、さっき柚弦くんに告げられた、「僕の好きな人が……4人の中にいるとしても?」という言葉を思い出した私は、心臓がバクバクしてきてしまった。
4人って聞いて、私、当てはまる人、萌々ちゃんしかいないじゃんって思ったけど……もしかしたら違うのかも。
窺うように2人を見たら、楓馬くんに「ん?」って顔をされて。
「あれ? 萌々ちゃんもまだなの?」
ってキョトンとされた。
最初のコメントを投稿しよう!