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それをひと口飲んだ後、当たり前みたいに俺との距離を詰め、
「おはよ――、ん……」
ちゅ、と触れ合っただけの唇を、キヨが笑顔でぺろりと舐めた。
深夜を回った俺の勤め先には、そういう指向の客が集まる傾向がある。
女性なら女性、男性なら男性を連れて、出会い目的なら一人きりで、カウンター席に座る。
そんな中、いつだったか閉店間際の、既に客なんてほとんどいない店にふらりとやってきて、カウンター席に一人で座ったのがキヨだった。
そうして当然のように酔い潰れたキヨを、仕方なく部屋に連れ帰ったのがこの関係の始まりだ。
かと言って、俺たちは別に付き合っているわけじゃない。
言ってしまえば身体の関係のある友人だ。
……まぁ、俺の方はある意味特別な存在だと思ってはいるけどな。
キヨがどうかは知らないが、少なくとも俺は今、彼以外とは寝ていないのだから。
「もうチェックアウトの時間? ここ、9時だっけ?」
欠伸をかみ殺しながらいうキヨの手から、ペットボトルを取り返す。
それを再度ひと口嚥下してから、傍らに置いていた携帯で時刻を確認した。
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