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「……今8時前」
「あ、まだ1時間あるじゃん。じゃあ、もう一回はできるね」
「お前、今日普通に仕事だろ?」
「いいのいいの。全然大丈夫」
待っていたように背中に素肌を重ねられる。首に腕が回され、誘うように耳にふっと息を吹きかけられた。
俺はその手首をそっと掴み、ちらりと彼の顔を見る。
「……いや、風呂は」
「あ……じゃあ、お風呂で!」
「はぁ……?」
俺が呆れたような声を漏らしても、構わず「ほら、行こ!」とキヨはさっさとベッドを下りる。そのまま俺の腕を引っ張り、急かすようにして、
「隆ちゃん早いから大丈夫だよ」
「誰が早いんだよ」
俺が本気で拒絶しないのを知っているかのように、揶揄めかして楽しげに笑う。
(……まぁ、いいけど)
俺は仕方なく立ち上がり、キヨと共に浴室に向かう。
……って、そんなふうに、簡単に流されてやる俺にも問題はあるんだろうけど。
***
昨夜宿泊した場所は、キヨの希望で例のレストランの近くにあるラブホテル。
結局あれから微妙に盛り上がり、慌ててチェックアウトした頃には危うく時間を回るところだった。
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