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発せられたその声はいわゆるハスキーボイス……。男性にしては高め、女性にしては低めといった印象で、男女の区別が付きにくい。
男性だと言われればそう思えるし、女性だと言われてもそうなんだ、って納得してしまいそうな、そんな声音。
あからさまではないけれど、私に敵意を持っているような剣呑さを、その人が纏うオーラから感じた私は、理由もなく少したじろいでしまう。
「ああ、近所の……。一応幼馴染み?」
隆ちゃんがまるで何でもないことみたいにそう答えて。
私はひとり、変に意識してドギマギしている自分が恥ずかしくなった。
そうして隆ちゃんの言葉から、私が彼にとってそれ以上でも以下でもないのだと痛感させられて、にわかに鼻の奥がツンとして悲しくなる。
同時に、少しは女の子として意識して欲しい、させたい、とも思ってしまって。
それで、かな。
聞かなきゃいいのに思わず問い詰めるみたいに言葉を発してしまっていた。
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