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「あ、あの……、隆ちゃん、その人は……」
そこまで言ってはみたものの、「隆ちゃんにとってどんな存在なの?」って言葉を継げないままに2人に視線を投げかけたら、その人がギュッと隆ちゃんにしがみついた。
それはどう見ても情を交わした相手への雰囲気で。
途端、心臓をわしづかみされたみたいに胸が苦しくなってしまう。
私、小さい頃から隆ちゃんのことだけを見てきたけど……あんな恋人みたいな絡み方、したことないし、多分したら跳ね除けられる……。
許してもらえない。
嫉妬心にかられるまま、見上げるように隆ちゃんにしがみ付いたその人を見詰めたら、自然と首筋に目がいって。
喉……仏……?
その一見華奢に見える首筋に、その人が〝男性〟であることを象徴する喉仏と……。
「――っ!」
ほんのり見える赤みがさしたような微かな鬱血の跡を見付けて、私は真っ赤になる。
あれって……キス……マーク……!?
違うかもしれない。
ただの虫刺されか何かかも。
そう思いたいのに。
思わせて欲しかったのにっ。
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