17.彼の恋愛対象は

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「あ、あの……、(りゅう)ちゃん、その人は……」  そこまで言ってはみたものの、「隆ちゃんにとってなの?」って言葉を継げないままに2人に視線を投げかけたら、その人がギュッと隆ちゃんにしがみついた。  それはどう見ても情を交わした相手への雰囲気で。  途端、心臓をわしづかみされたみたいに胸が苦しくなってしまう。  私、小さい頃から隆ちゃんのことだけを見てきたけど……あんな恋人みたいな絡み方、したことないし、多分したら跳ね除けられる……。  許してもらえない。  嫉妬心にかられるまま、見上げるように隆ちゃんにしがみ付いたその人を見詰めたら、自然と首筋に目がいって。  喉……仏……?  その一見華奢(きゃしゃ)に見える首筋に、その人が〝男性〟であることを象徴する喉仏と……。 「――っ!」  ほんのり見える赤みがさしたような微かな鬱血の跡を見付けて、私は真っ赤になる。  あれって……キス……マーク……!?  違うかもしれない。  ただの虫刺されか何かかも。  そう思いたいのに。  思わせて欲しかったのにっ。
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