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「萌々ちゃん、何かあった?」
逃げるように隆ちゃん達の前から走り去って……えっちゃんと待ち合わせをしていた場所に向かったら、彼女が即座に私の異変に気付いてそう問いかけてきた。
今日は2校時目からの授業だったから、いつもより少しのんびりめに家を出て、えっちゃんと途中のカフェでお茶をしてから一緒に登校しようって約束をしてて。
日頃は通らないルートを通って登校したのだけれど……まさかそこであんなことになっちゃうなんて。
いま思い出しても気持ちの整理がつけられなくて混乱してしまう。
隆ちゃんが、私のことを全く〝恋愛対象〟として見てくれていないことはとっくの昔に分かっていた。
でも、〝隆ちゃんは男〟で〝私は女〟だから――。
男と女である以上、いつどこで何があるかなんて分からないじゃない?、ってそれだけを支えにずっと彼のことを想い続けてきたのに――。
もし……隆ちゃんの〝恋愛対象〟が女性じゃないのだとしたら……私が縁にしていたものは、逆に枷にしかならないのだと思い知らされた。
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