18.気持ちの方向

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「僕、ちゃんと話したから。好きな人がいるってところまで」 「うん……それは、聞いた……」 「名前ははっきり言ってないけど……でも、この4人の中にいるとは言ったから。まぁ言ったも同じだよね」  内容のわりに、どこか淡々とした会話を続けながら、僕は少しだけ俯きがちに歩く萌々(もも)ちゃんを横目に垣間見る。  その表情は、顔にかかる髪に隠れてよく見えない。もしかしたらまだしっかり切り替えられていないのかもしれない。  思ったものの、今日こそはという気でいた僕はそのまま続けようとした。 「だから、これからは――」 「ご、ごめん。それ、なんだけど……」 「ん?」  だけど、それを一旦萌々ちゃんに止められる。  そのどこか惑うような声に、思わず嫌な予感がよぎったけれど、 「えっちゃん……勘違いしてるかも」 「え?」  そう聞いたとたん、僕の思考は一瞬固まった。  思いがけず大きな声を上げてしまったけれど、幸い、前の二人には聞こえなかったようだ。向こうは向こうで話が弾んでいるらしい。  僕は内心ほっと息をつき、それから改めて萌々ちゃんを見た。今度は少し声を落として。 「どういうこと?」 「うん……それが……」
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