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そんな中、もともと下の名前で呼んでいたとは言え、楓馬くんだけが柚弦くんから特別扱いされているみたいな構図が出来上がってしまっていたことに、柚弦くんは気づいていなかったのかな?
こんな風に2人きりの時だけじゃなく、みんなの前でも私のことを「萌々ちゃん」って呼んで、同じようにえっちゃんのこともそう呼んでくれていたならば。
案外こんなことにはならなかったかもしれない。
まぁ全部結果論なんだけど。
「え……楓馬? ……それが?」
「そ、それでね。柚弦くん、今までたくさんの女の子から言い寄られてきたけど1度も浮いた話が流れたことなかったじゃない? そういうのもあって余計に――」
ここまで言ったら察してくれないかな、柚弦くん。
基本ズルイ私はこんな場面でもそんなことを思ってしまう。
それを期待して柚弦くんの顔をソワソワと見上げたけれど、柚弦くんも自分の口からそれを言うのは憚られたのかな。
あくまでも私から告げられるのを待っているみたいに、何も言ってくれなくて。
私は観念して小さく生唾を飲み込んだ。
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