19.打算的なこたえ

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「ごめん。僕の言い方が悪かったみたいで。僕が好きだって言った相手は、春――萌々(もも)ちゃんなんだ」  わざわざ「春川」と言おうとしたのを、「萌々ちゃん」に言い直して、柚弦(ゆづる)くんが高らかにそう宣言して。  ひゃっ。  ちょっと待って、ちょっと待って柚弦くんっ。いきなりそんなのっ。私、なんの心の準備も出来てないのに!  ジタバタする私の両肩をグッと掴むと、柚弦くんが私の目をじっと見つめてきて言うの。 「そういうわけで……。ね、、僕と付き合ってください」  みんなの前で、そんなっ。  えっちゃんが固まったように私と柚弦くんを見ていて、楓馬くんがその横で「柚弦、やるじゃん!」と何故かノリノリで(はや)し立てる。  えっちゃんの、柚弦くんへの気持ちに片がつくまで待って欲しいと。柚弦くんの告白への返事を先延ばしにしたのは他でもない、私。  結局その猶予(ゆうよ)期間に甘えて何も策を講じなかった結果が今なわけで。  こんな風にみんなの前で再度告白されて、「ごめんなさい、私実は他に好きな人が」とか、言えるわけ……ないっ。
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