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私は助けを求めるようにえっちゃんを見て。えっちゃんに困ったような顔でフイッと視線を逸らされて、ギュッと胸の奥が苦しくなる。
小さい頃からずっとずっと大好きだった隆ちゃんの好きな人は男の人で、せっかく大学で仲良くなったお友達ともこんな形でギクシャクしちゃうなんて!
私、なんでこんなに何もかもうまくいかないんだろう?
もう、疲れちゃった……。
いっそのこと、誰でもいいから寄りかかってしまいたい。
柚弦くんはそんな私でも……いい?
こんな打算的な気持ちで柚弦くんにOKを出すのは卑怯だよね。
でも。
みんなの前でごめんなさいって断るよりはいいんじゃないかな。
私は小さな身体に乗っかった、ちっぽけな脳みそで一生懸命最善策を模索して。
そうして、決めた――。
「お願い、します」
途端、柚弦くんに再度ギュッと抱きしめられて、すぐ耳元で「あぁ……本当に……? 萌々ちゃん、ありがとう……!」って、とっても嬉しそうにつぶやかれた。
楓馬くんに、「おめでとう」って声をかけられながら、私はぼんやりと視線の端にえっちゃんの姿を探す。
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