19.打算的なこたえ

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「ゆ、づる、くん……」  ややしてポツン、と。えっちゃんが柚弦(ゆづる)くんの名前を呼んで。  柚弦くんが私を腕の中に抱きしめたまま、首だけをえっちゃんの方へ向ける気配がした。  私はそんな2人を見上げて、何も言えなくて小さく息を呑む。 「あなたが好きなのって、本当に萌々(もも)ちゃん、なの?」  探るように落とされた言葉に、柚弦くんがしっかりとうなずいて。 「うん……そうなんだ。実は僕、高校の時からずっと萌々ちゃんしか見てなくて。……でも、ごめんね。最初からそうはっきり伝えるべきだった」  ――他に女の子は一人しかいないから、あれだけでも十分伝わると思ってて……。  どこか申し訳なさそうに、けれども私の肩を抱く手にしっかりと力を込めて、柚弦くんがえっちゃんを見つめた。 「そ、だよ、ね。私、柚弦くんからちゃんと聞かされてた、もんね」  えっちゃんが、柚弦くんの言葉を受けて、まるで自分に言い聞かせるみたいにそう言って。
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