02.如月隆之介

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 まぁ、萌々(あいつ)は元々頭は悪くなかったからな。そこまで驚きゃしねぇけど。  思いながら、俺もカップを取り上げる。 「うちのお嫁さんになってくれないかしら」 「……っ! はぁ?! 誰が?!」 「だから、萌々ちゃんよ。……だめ?」 「だめ。無理」  口に含みかけたコーヒーを、噴き出しそうになりながらも即答する。 「あんなちんちくりん誰が……」  あれを俺の嫁に?  先刻久々に会ったばかりの萌々の姿を思い返しながら、俺は口端をひくりと引き攣らせる。  そんな俺を見て、母親は小さく肩を竦め、コーヒーをひと口飲んでから言った。 「あなただって小さい頃は小柄だったのに」 「……知ってるけど」  そんなのはこの家にあるアルバムを見れば一目瞭然だ。  確かに俺は小学校低学年までは大きい方ではなかった。……っていうか、小学校入るまではクラスで一番背が低いくらいだった。その頃は10人に聞けば10人間違うくらい、顔も女みたいだったし……。  おかげで、女の子も育ててみたかったという母親(この人)に、俺は可愛がられて――。
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