03.満員電車

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【side:春川萌々】  電車に乗ると、自分の小柄さ加減がイヤになるほど、不便さの数々を突きつけられる。  例えばこんな風にめちゃくちゃ混み合った時間帯に座席に座れなくて立っていると、周りから押しつぶされそうになってしまう、とか。  そもそも。  ドア付近の吊り革は位置が高すぎて掴めないし、かと言って余り出入り口から離れると降りる駅で出られなくなるから避けたい。  結果、座席そばのポールに掴まるしかないのだけど。  そこに掴まっていると、たまにシートに座っている人に睨まれてしまったりするの。  ここって持ったらいけない場所?  そう思ってスマホで検索してみたことがある。でも、転ばないために吊り革同様の扱いで構わないって書いてあったから……。私は嫌な顔をされても気付かないふりをしてそこに取り付くの。  でも、それよりもっとまずいのは余りに混み合い過ぎていて、どこも持つところが確保できないとき。  そうなると結構怖い。  下手をうって、周りがみんな長身の男性なんかで固められたりすると、押しつぶされそうな恐怖さえ感じてしまう。  電車で立っていて、170cmを越えた男性のそばに150cmしかない私が立つと、ちょうど目の高さに男性のひじが来るの。  相手がポケットの中のものを取ろうとしたときなんかはかなり危険で、無意識に後ろへ引かれたひじが顔面を直撃しそうに!なんていうのは割と日常茶飯事です。
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