118人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
久遠寺くん、隆ちゃんほど長身ではないけれど、175cmはあるって本人から聞いたことがある。
というのも、実は私たち、大学の同期でもあるけれど、実際の付き合いは高校生の頃からだから――。
彼の身長は高1の学祭の時、その見た目の通り王子様役だった彼の衣装作りのため、採寸をした際に聞いたの。
あ、ちなみにそのとき、私は裏方で……衣装係。
今はもう少し高いかもしれないけど、こうして近くに立った感じからすると、隆ちゃんよりは小さく感じられるから……180cmはないかな?って思う。
「相変わらずだね、春川さん。……可愛い」
そんな言葉とともにくすりと微笑まれて。私は満員電車の中だというのに久遠寺くんの周りにお花畑を垣間見たの。
さすが王子様!
隆ちゃんからは絶対に引き出せないような言葉をこんな状況――ぎゅうぎゅうの満員電車内――でサラリと爽やかに言えてしまうんだもの。
でもね、王子様の「可愛い」は真に受けたら痛い目を見るやつだから、私、あえてそこには反応しない。
多分だけどね、「面白い」の王子的変換なんだよ、これ。
「久遠寺くんに笑ってもらえて光栄です」
小さくポツンとつぶやいたら、「うん」って、にっこり笑顔であっさり肯定された。
ん?
ちょっと待って?
うん!?
知らないだけで私、そんなに彼に笑われてしまってるの!?
気がついたら私、じっと久遠寺くんの顔をみつめてしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!