04.久遠寺柚弦

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【side:久遠寺柚弦】  学校最寄りの駅で電車を降りると、改札までの通路を萌々(もも)ちゃ……春川さんと一緒に歩いた。  改札の外に出れば、人の流れも穏やかだ。昔からひときわ小柄な彼女だけど、そこからはもう一人で大丈夫だろう。  となれば、僕の役目もそこまでだ。  思うけれど、それはそれでやはり名残惜しい。  彼女とは高校からの付き合いだけど、それはあくまでもクラスメイトという関係で、こんなにも間近にその気配を感じられることはまれだったから。  本当は、いつだって彼女の隣にありたかった。それはもう、高校生――よりもずっと前からそうだ。  ……その想いを、伝えられたことは一度もないけれど。 (……どうしようかな)  できるだけ彼女の歩幅に合わせて歩く。ちらりと視線を横向けると、つやつやとした黒い髪の毛に、綺麗なエンジェルリングが浮かんでいるのが見えた。  ……可愛い。相変わらず可愛い。なんていうか、うっかりぎゅってしたくなる。  うちの家系は高身長で、姉たちも僕と同じかむしろ高いくらいだから、150あるかないかという春川さんの存在はとても新鮮だ。  そんな環境のせいか、僕は昔から小さくて可愛いものに惹かれる傾向があって……。  いや、だからってもちろん、それが全てではないけどね。
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