04.久遠寺柚弦

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 すぐ傍まで来て足を止めたこの男は、高校の時に通っていた塾で知り合った僕の友人だ。  偶然にも同じ大学、同じ学科で、成り行きとはいえ、現在は昼食なども一緒にとるような間柄になっている。 「え? あ、えっと……」  ちなみに楓馬(ふうま)も背が低い。いつだったか、「160はあるし!」と言い張っていたのを思い出す。  そのせいだろうか。楓馬は僕の陰になっていたはずの春川さんをすぐさま目に留めて、思わずといったふうに彼女を指さした。 (いや、ちょっと待て)  僕はその指先をすっと握って下ろさせる。指をさすな、指を……。  けれども、それを気にするふうもなく、春川さんはにこ、と笑って、 「あ、春川です」  と次には小さく頭を下げた。 (可愛い上に、優しい……)  こんなにも不躾な友人に、こんなにも誠実な態度をとってくれるなんて……。  僕は改めて春川さんを見直してしまう。  いや、知ってたけどね。知ってたけどこう、ある意味惚れ直したっていうか!  そんな僕を尻目に、楓馬は思い出したように表情を明るくし、 「そうだ、春川さん! 知ってる知ってる。ちっちゃい仲間のね!」  うんうんと一人勝手に頷いた。 (ちっちゃい仲間?)  僕は小さく瞬き、双方の顔をちらりと見遣る。  すると春川さんが、少しだけはにかむみたいに僅かに肩を竦めた。
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