05.私の友達

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【Side:春川萌々】  久遠寺(くおんじ)くん、神木(かみき)くんと連れ立って大学の敷地内に入ると、「萌々(もも)ちゃーん!」と正面から走ってくるスタイル抜群の女の子が見えた。  ショートカットの明るめな髪に、ゆるふわウェーブを当てたその子の名前は林田(はやしだ)悦子(えつこ)――通称えっちゃんだ。 「えっちゃん、おはよう」  何となく男の子2人との通学と言うのが……。というよりその1人がうちの大学でも女子たちの人気上位に華々しく君臨する王子様――こと久遠寺くんだというのが……。実はとっても落ち着かなかったの。  歩いている最中は神木くんのおしゃべりで幾分気が紛れていたとはいえ、学校が近付いてくるにつれどんどんと強くなる、「何であんなチンチクリンが久遠寺くんの横に!?」的な視線が全身に突き刺さるようで。  かといって、同じ法学部に通う久遠寺くんや神木くんと上手にさよならするタイミングが掴めなくて結構ソワソワしていたところに、えっちゃんの登場はある意味〝(わたり)に舟〟だった。 「萌々ちゃんってば朝から男の子2人に囲まれて通学とか……! モテモテじゃーん!」  ポンポンと肩を軽く叩かれて、だからそう見られるのが気恥ずかしかったのよぅ!と言う気持ちを込めて、目一杯眉根を寄せてえっちゃんを見上げる。  150cmの私より20cm近くも高いえっちゃんの身長は、本当に下から仰ぎ見るという感覚に近い。  えっちゃんほどとは言わないけれど、私もせめてもう5cm欲しかったなぁ!  あと――。
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