118人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
「ま、まさかっ」
そんな恐れ多いっ!
手を顔の前でブンブン振り回しながら否定したら、「そうなの? でも一緒に登校してきたからてっきり――」って、いつもハキハキしたえっちゃんにしては珍しく歯切れの悪い物言い。
「えっと……今朝は……たまたま電車で近くに乗り合わせてその流れで一緒に来ただけ、だよ?」
思わず「ごめんね」って付け加えてしまいたいような、そんなオーラが今のえっちゃんから出ていたの。
「ね、えっちゃん……。私が久遠寺くんと仲良かったら……」
恐る恐るそう切り出したら「萌々ちゃんに橋渡しをお願いできるかな?とか期待しちゃった」って、淡く微笑むの。
ん? 橋渡し?
それってえっちゃん、久遠寺くんと仲良くなりたいってこと?
もしかしてえっちゃん――。
ソワソワした気持ちでえっちゃんの顔を見上げたら「あーん、うつむいても萌々ちゃん相手だと逆効果だぁー」って両手で顔を覆うの。
いつも凛としてかっこいいえっちゃんも凄く綺麗だけど、今みたいに照れてはにかむ彼女もとっても魅力的。
耳まで真っ赤になったえっちゃんの姿に、私の「もしかして」は確信に変わる。
「あの、間違ってたらごめんね。えっちゃん、久遠寺くんのこと――」
最初のコメントを投稿しよう!