118人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
ただし、俺の席からはついたてなどが邪魔して見ることができない。
それをわざわざ立ち上がって見るのもどうかと思い、俺はただ、苦笑混じりに「そんな面白そうなもんが見えんの?」とだけ応えた。
「王子様みたいなキラキラした男の子と、小学生くらいの女の子が二人で座ってて……」
「小学生?」
「あ、中学生かもしんないけど」
「は?」
「まぁ、とにかく、そんな可愛らしい二人がさ。多分、あれ……」
「何だよ」
「告白してる」
「……あ、どうも」
へぇ、と若干興味を引かれたものの、そこに運ばれてきたコーヒーの方に自然と意識が移った。
「つーか、小学生も中学生もいまは学校の時間だろ」
ブラックのままのコーヒーをひと口飲んで、俺は「あてになんねぇな」と溜息混じりに小さく笑う。
するとそれを聞いた清も、「あ、そっか」ととたんに興味をなくしたみたいに煙草を取り出し、
「やー。なんか他人事ながらちょっとどきどきしちゃった。上手くいくといいよね~」
そのくせ淡く染めた頬に触れながら、次にはそぐわないほど手慣れた所作で咥え煙草に火を点けていた。
最初のコメントを投稿しよう!