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「春川さん?」
私のソワソワした様子に、久遠寺くんが気遣わし気に声をかけてくれて。
私はそれ以上久遠寺くんに心配かけられないって思ったの。
あー、これ。やっぱり神木くんを通さずに久遠寺くんに直接話した方がよかったんじゃないの?
ふと思ったけれど、だったらどう声をかけたらいいの?ってなって。
結局講義の間中、どうすべきか思い悩んでしまった私は、教授の話が半分も頭に入ってこなかった。
こんなことじゃダメだ。
特待生として色々優遇していただいている手前、成績を落とすわけにはいかないのに。
***
結局あれから1週間。
神木くんが1人になってくれる機会が得られないままに、時間だけが過ぎてしまった。
神木くんと連絡先を交換しているわけではないので、メールや電話でどうこうすることも出来なくて。
チラチラと窺い見るけれど、神木くんってばいつも久遠寺くんと一緒にいるんだもん。
しかも久遠寺くんが1人だ!って思ってキョロキョロしたら、この前みたいに妙にさまになるウィンクをしてきていなくなっちゃうの。
もぉ!
鈍感と勘違いもここまでくるといっそ清々しいくらいね。
私、結局久遠寺くんと2人きりになれるチャンスには恵まれてしまっているけれど、神木くんとは無理で。
そんな矢先――。
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