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「ねぇ、春川さん。今日の午後……休講で空いた時間って、何か予定してるかな? もし良かったら、ちょっと付き合ってもらいたいところがあるんだけど……」
久遠寺くんが言ってきたのは、えっちゃんと神木くんが違う講義に行って不在になって、私と久遠寺くんは同じのを取っているというもの。
別に何か用があるわけではないし、えっちゃんもいないからひとりで図書館に行って時間を潰そうかな?って思っていたところ。
最初のうちこそ柚弦王子ファンクラブ――少なくとも高校時代はあった――の皆さんに恨まれるかも?って警戒したりしていた私だけど、私みたいなチビっ子は、逆にライバル視すらされないのかな?
ここ数日、神木くんが変に気を回してくれるお陰で、時折こんなふうに久遠寺くんと2人きりで話すことが何度かあったんだけれど、案外私、ノーマークみたい。
勘違いしまくりの神木くんをあてにするのはやめにして、久遠寺くんに直接働きかけた方がいいのかもしれない。
そんなふうに思い始めていたこともあって、私は「大丈夫」ってうなずいていた。
久遠寺くんの話したいことって何だろう?
あ! もしかしたらえっちゃんのことかも!?
私が神木くんを先に籠絡しようとしたように、久遠寺くんもえっちゃんの友達の私を射落とそうとしているのかもしれない。
ふふっ。
だとしたら好都合だわ。
私は心の中で小さくガッツポーズをした。
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