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「なんかごめんね、突然」
大学近くのファミレス――アリアに入って席に案内されてすぐ、久遠寺くんが申し訳なさそうに眉根を寄せた。
「んーん、全然平気だよ。私も久遠寺くんと話したいことがあって……正直誘ってもらえてよかったって思ってるの」
「春川さんも……僕に、話?」
整った顔の久遠寺くんに、可愛らしくキョトンとされて、思わずドギマギしてしまう。
「あ、そのっ、久遠寺くんってすごくモテるでしょう? その……彼女とかいないのかなって」
わー、ちょっと待って、萌々!
何かこれじゃ、私が久遠寺くんに告白してるみたいじゃないっ?
神木くんに勘違いされた前科もあるし……慎重にいかなくちゃダメなのにっ!
思うのに恋バナに関してはど素人の私。
勉強みたいにスムーズに答えが出せなくて迷走してしまう。
「あ、えっと、その、ち、違うの……っ。わ、私っ、何言っちゃってるんだろう。……ごめんなさいっ。い、今のはナシ! リセットでっ……お願いしまっ、」
言えば言うほどドツボにハマって抜け出せなくなってる気がする。
ひゃーん。
どうしよう。
久遠寺くんに先に話して貰えばよかったのに、何先に口火切って泥沼にズブズブ落ちていってるのっ!
久遠寺くんっ。
絶対変に思ってる、よ、ね?
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