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【side:久遠寺柚弦】
あの電車での一件があって以来、妙に春川さんの視線を感じる。
今まではここまで目が合うこともなかったし、あんなあからさまに顔を背けられることもなかった。
しかもその態度はどこかよそよそしいというか、そわそわしてるっていうか……。
……これってどういうこと?
いや、どういうこと? とか言いながら、今までの経験上、導き出せる答えは二つに一つしかない。
嫌われているか、好かれているか。
スキかキライか、そのどちらかしかないはずだ。
だってそのどちららでもなく、どうでもいいと思うような相手ならば、そこまで意識することもないだろうから。
……もしかして春川さん……僕に興味を持ってくれたのかな。
少なくとも意識してるのは間違いないよね。
そしてそれは多分、嫌われている……というような感じではない。……と思う。
(……どうしよう)
春川さんって、本当に僕のこと……。
だとしたら……だとしたら。
女の子に先に告白させるわけにはいかない。
ここは僕がちゃんとリードしないと……!!
そう思った僕は、早速彼女を大学から徒歩圏内にあるファミレスに誘ってみることに決めた。
***
かといって、僕だっていきなり本題に入ることはしない。
何の準備もなしにいきなり「スキです」なんて言ったって、「え?」って冷静に訊き返されるのがおちだ。それにこのシチュエーション。ただ流れで選んだファミレスで、ついでのように告白するなんて雰囲気がなさすぎる。
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