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気がついたら私、思わず立ち上がってテーブルに手をつくように身を乗り出していて。
「大丈夫だよ」
そう言いながらヨシヨシって……まるで弟にするみたいに久遠寺くんの頭に軽くポンポンと触れてしまってたの。
そうしてハッとした。
こ、このふんわり柔らかな髪の毛の感触! 朔のものとは違う。
わ、私なにやってんの!
って。
長いこと朔の〝お姉ちゃん〟と〝お母さん〟を兼任してきたこの身体は、不安そうに見える〝男の子〟を見ると、つい条件反射で動いてしまうみたい。
立っている時ならば、私より遥かに背が高い同級生相手にこんなバカなこと、しなかった――。
でも、今回は座っていた上に、……く、久遠寺くんがうつむいたりするからっ。
普段は見えないはずの彼のつむじが見えてしまって。
それで半ば無意識にうっかり――。
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