09.どうしたらいいの?

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「ご、ごめんなさいっ、ついっ」  言って慌てて手を引っ込めようとしたら、伸ばしたままだった手首を、うつむいたままの久遠寺(くおんじ)くんにギュッと握られてしまった。 「――春川さん。僕、本気だから」  言って、ゆっくり顔を上げた久遠寺くんが、とても真剣な、でもどこか柔らかな面差しを私に向けてくる。  立ち上がって前のめりになっている関係で、そんな久遠寺くんの顔がすぐ目の前にあって。  キラキラと澄んだ大きな()でそんなふうに見つめられたら、私、どうしていいか分からないよ。  スキとかキライとかとはまた別の次元で、整った顔の異性というのは心を掻き乱すんだって思い知らされた。  ぶわりと全身が熱を帯びたのが分かって。  絶対いま、私は真っ赤になってしまってるっ。  このままはマズイって心が警鐘(けいしょう)を鳴らすのに。  手を捕らえられてしまったままの私は、引くに引けなくてただただそわそわしてしまう。
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