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お母さんが生きている時からだったけれど、ほわんとして頼りないお父さんのことが、私は心配で心配でたまらなくて。
気がついたら、そんなお父さんを支えるために、私、年の割にかなりしっかりした女の子に成長していた。
勉強だって家事だって、お父さんに心配をかけたくないからって理由だけで、卒なくこなせるように物凄く努力した。そうしているうちに段々コツが掴めてきて、いつの間にか本当にそんなに労せずしてあれこれこなせる優等生になってしまいました。
だからね、お父さんが新しいお母さん――朔のママと再婚したいって言い出したとき、私、少しホッとしたのと同時に、寂しくも感じて。
コレで私、お父さんの心配しなくてよくなるのかな? でもそうなると私の居場所ってどうなるんだろう?みたいな。
相反する思いの中で、それでも父親に心配を掛けないように振る舞うことにかけては筋金入りにうまくなっていたから。
多分、お父さんからは当時の私、手放しにホッとしているように見えていたんじゃないかしら。
お母さんができる、わーい!って。
実際は違ったんだけど……でもそう見えるように演じたのは私。
それでお父さんが安心して再婚できるならそれが一番だと思っていたから。
なのに。
朔のママは弟を産んで半年ぐらいで、新しい男の人と出て行っちゃった。
私が中学に上がるちょっと前のお話。
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