09.どうしたらいいの?

8/10
前へ
/137ページ
次へ
*** 「なんだ、今夜は肉じゃがか?」  特売のお肉などを買い込んだ買い物袋を手に、ヨロヨロと近所のスーパーから出てきたところで、不意に頭上から声が降ってくる。  顔を上げると、手元の袋を軽く覗き込まれていた。 「(りゅう)ちゃんっ」  大好きな隆ちゃんに、こんなボロボロなところを見られるとか最悪っ。  私は慌ててシャキッと背筋を伸ばすと、 「じ、実家、……行ってたの?」  この辺で隆ちゃんを見かけるのは多分そうかなって、恐る恐る問いかけた。 「あー、まぁ、ちょっと」  隆ちゃんにしてはどこか歯切れの悪い物言いに、私はキョトンとする。 「隆ちゃん、ひょっとして何か……私に言いたいこと……ある?」  言って、隆ちゃんの整ったシャープな顔立ちをじっと見上げて小首を傾げる。  彼は、そんな私にひとつ溜め息をついてから、揶揄(からか)うように言った。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加