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「なんだ、今夜は肉じゃがか?」
特売のお肉などを買い込んだ買い物袋を手に、ヨロヨロと近所のスーパーから出てきたところで、不意に頭上から声が降ってくる。
顔を上げると、手元の袋を軽く覗き込まれていた。
「隆ちゃんっ」
大好きな隆ちゃんに、こんなボロボロなところを見られるとか最悪っ。
私は慌ててシャキッと背筋を伸ばすと、
「じ、実家、……行ってたの?」
この辺で隆ちゃんを見かけるのは多分そうかなって、恐る恐る問いかけた。
「あー、まぁ、ちょっと」
隆ちゃんにしてはどこか歯切れの悪い物言いに、私はキョトンとする。
「隆ちゃん、ひょっとして何か……私に言いたいこと……ある?」
言って、隆ちゃんの整ったシャープな顔立ちをじっと見上げて小首を傾げる。
彼は、そんな私にひとつ溜め息をついてから、揶揄うように言った。
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