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「きょ、協定があって……色々な問題が片付くまで周りにはアレ、内緒なのっ。だからっ」
私はギュッと袋の持ち手を握りしめると、
「隆ちゃんも見なかったことにしといてっ!」
まくし立てるようにそう言って、くるりと踵を返して逃げるように走り去った。
何でっ!?
何でっ!?
よりによって大好きな隆ちゃんにあんなところ、見られてたなんてっ!
告白されてたの?とか聞かれたわけじゃないから、実際にはどの辺りまで知られているのかは分からないけど……。
でも……男の子と2人きりなところ見られたとか……誤解されていても不思議じゃない。
内緒も何も、隆ちゃんと私の大学の友達には接点なんてないのだから、何にも支障なんてないのに。
絶対、なにバカなこと言ってんだよアイツって思われてるよね……。
でもね……。出来れば本当……、記憶から消し去って欲しいの。
隆ちゃん自身の記憶から。
お願いっ。
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