10.成り行きとはいえ

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***  何気なく視線を巡らせた先には、駅前のスーパー。その出入り口から、よろよろと出てきた小柄な女の姿を目に留め、俺は小さく瞬いた。 (萌々(もも)……?)  ……つーか、どう見ても買いすぎじゃね? あいつ自分のキャパってもんを知らねぇの?  第一声でそうツッコミたくなるほどの荷物を抱えていた萌々は、早々にきつそうな顔をしながらも、そのまま家の方へと歩き出そうとしているところだった。  俺は自分の荷物に目を移し、それが背中に回したボディバッグと、片手に提げていた小さな紙袋だけなのを確認すると、溜息をつきながら彼女の元へと足を向けた。 「なんだ、今夜は肉じゃがか?」  肉じゃがなんて久しく食ってねぇな。  思いながら声をかけると、萌々が弾かれたように背筋を伸ばした。  そのどこか挙動不審な様子に、俺はふと先日行ったレストラン(アリア)でのことを思い出す。
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