10.成り行きとはいえ

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 一緒にいた友人(キヨ)が言っていた。  小学生だか中学生だかの女の子が、男の子に告白されてるって。  その光景を俺は直接見ていなかったが、途中トイレに立ったキヨが、実際にその会話を盗み聞きして帰ってきた。そして教えてくれたのだ。「マジアオハルだった!」と妙に高いテンションで。  そしてその後、先に店を出た二人が窓外を通り過ぎるのを見て、ようやく気付いた。  そのが、萌々(もも)だったことに。  ちなみに、隣にいた男の顔面レベルはかなり高かった。特別高身長というわけではなかったが、顔が小さいせいかスタイルもモデル並みだったように思う。  印象としては見るからに万人受けするというか、きらきらとした好青年という感じで、よくあんなのが萌々を選んでくれたものだと正直思ったが、萌々の方も素直に喜んでいるように見えたので、普通に良かったなという気持ちになった。  だからそう口にしたのに、 「きょ、協定があって……色々な問題が片付くまで周りにはアレ、内緒なのっ。だからっ、(りゅう)ちゃんも見なかったことにしといてっ!」  ってのはいったいどういう了見だ。
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