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【Side:春川萌々】
「えっちゃん。その……久遠寺くんのことなんだけど……」
大学が終わってから、私はえっちゃんとふたり、ファミレス〝アリア〟にいた。
あの日と同じ、どこかあどけない印象の小柄なウェイターさんに通されたのは、奇しくも先日久遠寺くんと来た時に座ったのと同じテーブル席。
でも今日はえっちゃんが壁に背を向けた側に、私が久遠寺くんがいた側に座っている。
この席に通された時、あの日と一緒を避けたくて、私が意図的にそうしたの。
夕飯までは間があるし、かと言って3時のおやつの時間はとっくに過ぎていて。
えっちゃんはモデルさんで、カロリーなどには気を遣っている。
結果、とりあえず、とメニューの中から選んで頼んだのは、えっちゃんがブレンドコーヒー。
私はミルクティー……にしようとして、寸前でクリームソーダに変更したの。
やはり何となく……。
あの日と同じものを頼むのは気が引けてしまって。
席と、応対してくださった店員さんが一緒でも、違う点をいくつか設けたら、前みたいにへまをせずに済むかなって……。
何ら根拠のない思い。
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