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店内は空調のおかげか程よく涼しくて、冷たい飲み物を飲んでいたら少し肌寒くなってしまった。
でも、いま腕に浮かんでいる鳥肌は寒さのせいなのか、それとも話すのを躊躇いたくなるような内容のせいなのか、自分でもよく分からないの。
「ん? 久遠寺くん? 彼が何か?」
えっちゃんがこちらを向いたと同時。
ゆるふわウェーブのショートカットから覗いた、少し大きめのイヤリングが照明を受けてキラキラと揺れた。
その光に思わず目を奪われて、一瞬言葉に詰まる。
「あ、あのね……」
何て言ったらいいのか分からなくなって、クリームソーダの入ったグラスをギュッと握ったら、手にじんわりと冷たさが伝わって。
それじゃなくても冷え切っていた指先が、結露で濡れてさらに冷えた。
「彼、えっちゃんと……」
「私と?」
言いたい言葉は喉元まできているのにどうしても言葉にならなくて――。
これを告げたらえっちゃんはきっとすごくすごく喜ぶの。
でも。
そこでふと、先日この席で久遠寺くんに言われた提案を思い出した。
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