118人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そっか」
久遠寺くんの声に、ハッとした。
罪悪感の余り、久遠寺くんと一緒にいることも忘れて、つい自分の思いの中に囚われかけてしまっていた。
「はい……」
つぶやくように消え入りそうな声で言ったら、「春川さんも、色々考えてくれてたんだね」とさらに言い募られて。
そうだ。
私、それを言いたくて、久遠寺くんの誘いを受けてここに来たんだ。
「あの……私……」
泣きそうな顔を上げて、久遠寺くんの質問に答えようとしたら、一旦気持ちを落ち着ける必要があるって思われたのかな。
「紅茶、冷めないうちに飲んじゃおっか」
言いかけた言葉をさえぎる様に、手付かずのままゆるゆると湯気をくゆらせていた紅茶をほんの少し近付けられた。
私は言われるままにそれに手を伸ばすと、ひとくち口に含む。
最初に店員さんがティーポットからカップに注いでくださった時、ミルクティーを希望した私のカップには、あらかじめミルクピッチャーからミルクが入れられていて。
紅茶を注ぐと同時、柔らかな素色になったの。
最初のコメントを投稿しよう!